COLUMN
コラム
戸建てリノベーションでも確認申請が必要!?
COLUMN2025年から、リノベーションでも確認申請が必要?
― 現場で実際に起きていることを、できるだけ分かりやすく ―
現在進行中の戸建てリノベーションの現場で、
10㎡以下の増築を行うことになりました。
面積だけを見ると
「小規模だから簡単そう」
と思われがちですが、今回は建築確認申請が必須。
しかも、
増築部分だけでなく、建物全体の構造(金物)検査が必要になりました。
リノベーションなので
「既存2階の金物は見えませんよ?」
と検査員さんに伝えたところ、
「では、見えるようにしておいてください」
……はい、正論です(笑)
ということで、
壁に穴を開けて金物を露出させ、全体検査に対応しました。
この出来事、実は
2025年以降のリノベーションを象徴する話でもあります。
まず最初に知っておいてほしいこと(少し専門的な“かんたん説明”)
2025年の建築基準法改正で、
リノベーションに関して次のポイントが大きく変わります。
① 「4号特例」の縮小
これまで多くの木造住宅(いわゆる4号建築物)では、
-
構造計算の審査が省略される
-
金物や耐力壁の詳細確認が不要
-
内部工事はグレーゾーンで進められる
という扱いがされてきました。
しかし2025年以降は、
-
主要構造部(柱・梁・床・耐力壁・階段など)に関わる工事
-
建物全体の安全性に影響する改修
については、
リノベーションであっても構造審査の対象になります。
👉
つまり、
「リノベだから構造は見ない」は、もう通用しません。
② 小さな工事でも「建物全体」がチェック対象になる
今回の現場のように、
-
増築が10㎡以下
-
触っているのは一部だけ
であっても、
確認申請を出した時点で、建物全体が審査対象になります。
-
既存金物の有無
-
耐力壁の配置
-
構造の連続性
まで確認されるため、
「増築部分だけ見ればいいですよね?」
という考え方はできません。
③ 準防火地域では「構造+防火」が同時に求められる
準防火地域の場合、
確認申請では次の点も必ずチェックされます。
-
外壁の防火構成
-
軒裏の仕様
-
開口部(窓・玄関)の防火設備
-
延焼ラインとの関係
リノベーションでは、
-
既存サッシが防火仕様でない
-
軒裏が木板現し
-
外壁の構成が不明
といったケースが多く、
申請を出すことで
👉
「既存不適格なのか/是正が必要なのか」
を整理する必要が出てきます。
これを知らずに進めると、
-
想定外のサッシ交換
-
外壁や軒裏のやり替え
-
コスト増・工程の見直し
につながることも少なくありません。
「内部工事なら申請不要」は、もう危険
階段の架け替え、間取り変更、耐力壁の移動。
これらはすべて、
-
構造
-
耐震性
-
避難安全性
に影響する工事です。
2025年以降は、
リノベーションでも確認申請が必要になる可能性が高い
という前提で考える必要があります。
今のリノベーション業界の「正直な現状」
ここまで読むと、
「じゃあ、全部確認申請を出すべきなの?」
と思われるかもしれません。
ただ、現実の流れとしては、
確認申請を出さずに済むリノベーションを勧めている会社が多い
のも事実です。
これは、
-
申請にかかる時間
-
設計・構造検討の手間
-
申請費用・検査費用の大きさ
を考えると、
施主様の負担が非常に大きくなるケースが多いからです。
例えば「屋根の葺き替え」ひとつでも
屋根の葺き替えは、
-
屋根重量が変わる
-
構造に影響する可能性がある
ため、
内容によっては確認申請が必要になります。
ですが実際には、
-
申請費用だけで100万円以上
-
構造検討・図面作成に時間がかかる
というケースも珍しくありません。
そこで選ばれることが多いのが、
**既存屋根の上に新しい屋根材を被せる
「カバー工法」**です。
-
法的な扱いを変えにくい
-
申請を不要にできる可能性が高い
という理由から、
現実的な選択肢として提案されることが多くなっています。
「申請を出す/出さない」どちらが正解?
これは、
どちらが正解という話ではありません。
-
コストがかかっても
思い通りのリノベーションをしたい -
法的にも構造的にも
すべて整理した状態にしたい
という方は、
確認申請を出す選択が向いています。
一方で、
-
予算には限りがある
-
住みながらで壊せない部分がある
-
今回は最低限の改修にしたい
という場合、
申請を出さない工事内容に調整する
という判断も、十分に合理的です。
大事なのは、
👉
選択肢をきちんと説明してもらえているかどうか
です。
確認済証がない建物は、さらにハードルが上がる
中古住宅を購入してリノベーションを考えている場合、
-
確認済証がない
-
検査済証が残っていない
こうした建物では、
現行法規での適合性確認からスタート
する必要が出てきます。
結果として、
-
耐震補強が大規模になる
-
防火規制への是正が必要になる
-
「リノベ」ではなく「改修工事」に近くなる
というケースも少なくありません。
新耐震(1981年以降)の建物は比較的有利
1981年以降の新耐震基準の建物であれば、
-
基本的な耐震性能が確保されている
-
構造計算上の整理がしやすい
ため、
-
金物追加が最小限で済む
-
壁だらけになるのを避けられる
可能性が高くなります。
これから本当に大事になる「工務店選び」
2025年以降のリノベーションでは、
-
法規的にできること
-
コスト的に現実的なこと
-
暮らしとして納得できること
このバランスを
一緒に整理してくれる工務店かどうか
が、とても重要になります。
-
確認申請を出した場合のメリット・デメリット
-
出さない場合のリスクと限界
-
将来(売却・相続)への影響
これらを、
「出さなくて大丈夫です」
「出した方が安心です」
どちらか一方だけでなく、
両方を並べて説明してくれるか。
そして最終的に、
「どこまでやるかは、施主様次第ですね」
と、
判断を委ねてくれるかどうか。
まとめ
-
2025年以降、リノベでも確認申請が必要な時代
-
小規模工事でも建物全体が審査対象
-
準防火地域は防火規制が大きなポイント
-
申請を出す/出さないは「考えて選ぶ」時代
-
だからこそ、相談にきちんと乗ってくれる工務店選びが重要
これからのリノベーションは、
「とりあえず直す」より
「法規と現実を整理してから直す」
それが、
結果的にいちばん安心で、損をしない選択になると思います。